新型コロナウイルスについて11~5類引き下げ後の対応について

2月になり晴れた日の日差しや風に春を感じるようになりましたが、花粉症の方はこれからが嫌なシーズンですね。今年は花粉の飛散量が多いと聞きますので早めの対策をしましょう。

さて、このたび政府は令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染所を現行の「2類」から「5類」に引き下げることを発表しました。これにより新型コロナウイルス感染症は季節性インフルエンザと同等の扱いになり、多くの制限が解除され社会活動がしやすくなります。ようやくマスクから解放されると喜ぶ方も多いでしょう。

しかしながら、インフルエンザと同様とはいえ、ウイルスが違うわけですから全く同じ対応でよいというわけではありません。新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株が主流になってからは感染後の重症化率、致死率とも低下がみられていますが、60歳未満では季節性インフルエンザと大差はないものの、60歳以上になるといずれもまだ高い状態です。また、新型コロナウイルスの感染力は季節性インフルエンザより数倍強く、軽症でも約半数の人に感染後の何らかの後遺症がみられているというデータもあります。

このように新型コロナウイルスが取り扱い上5類相当になったとしても、インフルエンザと同等に考えるのは危険です。新型コロナウイルスが弱くなったとは言いきれないので、感染予防は引き続き行っていかなければなりません。人ごみなど密なところでのマスク着用、ワクチン接種は今後も感染予防、重症化予防には大変有効です。

2023年

新年あけましておめでとうございます。

昨年はほとんどブログの更新ができませんでしたが、今年はせめて月1回は更新しようと思います。

皆さんはサッカーワールドカップを観られたでしょうか?メッシが有終の美を飾るという絵にかいたような幕切れに終わった大会でしたが、我々にとって喜ばしいことはやはり日本代表の躍進に尽きるでしょう。ドイツ、スペインを倒したんですから大したものです。

そのスペイン戦で「三苫の1ミリ」という言葉が生まれましたが、これはVAR(Video Assistant Referee)という映像でプレーの確認をする技術が近年導入されていたことに由来するもので、おそらくそれ以前なら日本の2点目は「誤審」と言われていたでしょう。

このように新しい技術がスポーツのみならずいろいろな分野で取り入れられてきています。医療の世界も例外ではなく徐々にIT化が進んできています。当院でもIT化に対応し、引いては医療の在り方の変容(DX化)に適応できるようにしたいと考えておりますので、今後はより頻繁に情報の発信を行い、皆様にとってより便利なクリニックを目指す所存です。

新型コロナウイルスについて10~急激な感染拡大をみる第6波において行うべきこと

年が明け、昨年の第5波を凌ぐ勢いで、急激な新型コロナウイルスの感染拡大がみられています。今回の第6波を形成するのはオミクロン株という種類の新型コロナウイスです。重症化はしにくいものの非常に感染力が強く、一人が感染すると、今まで感染しにくいと言われていた子供も含め、一緒にいる人のほとんどが感染してしまいます。このため、家庭内感染が非常に多くみられ、職場のみならず、学校、保育園などでもクラスターが発生しやすい状況になっています。また、コロナワクチンを打っているのも関わらず感染する人も多く、ワクチンを打ったから大丈夫とは言えないのがオミクロン株の特徴なのです。

このまま感染が拡大すると医療がひっ迫するのは時間の問題です。再び緊急事態宣言が出るようなことは避けたいものです。そのためにはいかに感染拡大のスピードを抑えるかが重要です。まずは基本的な感染予防、マスク、手指消毒、3蜜回避などは当然行うべきことですが、今回の第6波において大事なことは「集まらないこと」、「必要のない人と対面で会わないこと」だと考えます。オミクロン株の感染力を考えると、ある程度感染してしまうのは防ぎようがないので、それをいかに少人数にとどめるかを考えて行動していただければ、感染拡大を少しでも鈍化させることができ、ひいては医療ひっ迫を最小限に抑えることができると考えています。

 

新型コロナウイルスについて9~私的見解で個人レベルでのコロナゼロを目指す

新型コロナウイルス感染症に対する政策上、日本には法整備ができていないのでロックダウンなど強制的な行動制限はできません。コロナゼロは目指さず(目指せず)、コロナと共存して(ウィズコロナ)経済を回していこうという政策です。それでも新型コロナウイルス感染拡大の第1波の時は、国民皆が自主的に感染予防を行い、行動を自粛したことで、見事に感染拡大を抑えることができました。

しかし、その後は免疫がないので当然のことながら第2波を迎えるのですが、この頃から感染がピークを過ぎても新規患者数が一定数から減らなくなりました。いったい何故でしょう?

ちょうどその頃に「GoToトラベル」が始まり、Stay homeに我慢できない人が移動しはじめるようになりました、人の移動は感染症を拡散させるのでこの政策には問題があります。特に観光地では気持ちが開放的になることもあり、感染予防が緩くなりがちです。また、同時期に流行りだしたのがウレタンマスクです。不織布マスクが品薄で見栄えも悪かったので、若者が好んで装着するようになりました。今でも多くの人が使用しています。ところがこのマスクは不織布マスクほどの感染予防効果はありません。布マスクに至っては「ないよりはマシ」くらいのものです。夜の街の感染は多かったかもしれませんが、私の見解では、観光地などへの人の集中を抑制しきれなかったことと、ウレタンマスクなどの緩い予防が広まったことが、感染が減らない一番の原因だと考えています。前者は防ぎようがない面がありますが、少なくとも後者は我々自身で対処できることです。

そもそも感染症は、病原体と人の免疫との戦いです。当然強いほうが勝ちます。ですから、体に侵入してくるウイルスを限りなくゼロにすれば感染は起こりませんし、たとえゼロにできなかったとしても、免疫を強くすれば簡単に負けることなはありません。例えれば、マスク、手指消毒、蜜を避けるなどは侵入するウイルスをブロックする「盾」です。変異株のような強い敵が現れたら今まで以上に「盾」でのガードをしないとダメです。新型コロナウイルスの侵入経路主に鼻、口なので、より予防効果が高いマスクを使うことが重要なのは明らかです。また、ワクチンも重要です。たとえ敵が侵入したとしても、相手を弱らせて重症化を予防できる「鎧」です。このワクチンがある今、第1波の時を思い出してしっかりとした予防をすれば、感染者数のベースが減り、もう少し感染の広がりは抑えられたと思います。何とか医療ひっ迫が起きないレベルを維持して、治療薬の登場まで、個人レベルでのウイルスゼロを目指してしっかりと感染予防をしていただきたいと思います。

 

新型コロナウイルスについて8~コロナワクチンについて2

新型コロナウイルス感染症が今までにない急激な拡大をみせています。都市部では病床や療養場所が不足し医療ひっ迫がみられ、緊急事態宣言が発令されています。

一方で、新型コロナワクチン接種が急ピッチで進んでいます。ワクチン接種で感染は完全には予防できませんが、変異株に対しても重症化のリスクは軽減できます。事実ワクチン接種を終えた高齢者の重症化は減少しています。

ワクチン接種が若い年代にも広がって、重症化する人数が減少すれば当然入院も減少し、医療ひっ迫は解消に向かうはずですが、それでも一定の割合で重症化はみられるので、感染者が爆発的に増えればそれだけ医療はひっ迫してしまいます。そうすると、我々が今しなければならないことは、「感染しないこと」と「感染させないこと」です。そのためには、マスク、手指消毒、3蜜回避と今まで散々言われてきたことを継続することが大事なのです。

集団免疫という観点からは、変異株の流行の影響で、既感染者を含めて国民の95%ほどが免疫を獲得しないといけないと言われていますが、実際これを達成するのは困難だと思われますので、結局は予防が重要なのです。ワクチン接種をされていない方は引き続き上記の予防をしっかり行ってください。ワクチン接種がお済でも予防は今まで通り感染予防を行ってください。

東京オリンピック・パラリンピック

テレビをつけると、東京オリンピック・パラリンピック開催の是非ばかりでうんざりしている今日この頃です。

感染予防の立場からは、開催中止(あるいは延期)が好ましいのは明らかですが、そもそも、科学は人々の命のためのみならず、生活や社会活動のためにあるべきものなので、どうすれば安全に東京オリンピック・パラリンピックが開催できるかを前向きに考えてもいいのではないかと思います。何故か両者を切り離して議論するようになってしまっているのが非常に残念です。

というか、もうオリンピックの開会式まで1か月ちょっとに迫ってきているので、今、是非を議論している場合ではないと思います。誰もそれを声高らかに言わないくらい冷めているなら、さっさとやめてしまってもいいのかもしれませんが・・・。

 

新型コロナウイルスについて7~新・新型コロナウイルスとコロナワクチン

新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっています。従来の新型コロナウイルスと比べて明らかに感染力が強く、今までの予防策では感染拡大を防ぎきれていません。

変異株による感染拡大防止には、手指消毒、3蜜回避などの基本的な感染予防策の徹底はもちろん必要なことですが、なんとなく慣れてきている『新型コロナウイルス感染症』としてではなく、新たな感染症という認識で対処していく必要があると思います。

当院では、かかりつけの方限定ですが、明日から高齢者向けにワクチン接種が始まります。私は、昨日新型コロナウイルスワクチンの2回目を接種完了しました。接種部位の痛みが若干あるくらいで、特に問題となる副反応はみられませんでした。コロナワクチンは変異株に対しても効果はあるとされていますので、できるだけ多くの方に接種していただきたいと考えております。

ただ、接種後副反応以外に気を付けていただきたいことは、ワクチンを接種すれば絶対にコロナに罹らないというものではないということです。社会活動の制限は緩和されますが、コロナが収束するまでは今まで通り予防を行ってくださるようお願いいたします。

新年あけましておめでとうございます

本年もよろしくお願いいたします。

コロナの話ばかりで退屈だと思いますが、退屈ついでに一言。

コロナウイルスを持っているのは、蚊でも鳥でもない〝人〟です。くしゃみ、咳、会話、接触で感染し、移動で感染が広がるということを忘れないでください。

新型コロナウイルスについて6 ~インフルエンザの流行期に向けての対策2~

今年は秋冬のシーズンを迎え、今までにないペースで新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起きてきています。今のところ、インフルエンザの流行はみられていませんが、インフルエンザとの同時流行が起これば発熱などの感冒症状の患者さんが多く出ることになります。ワクチンのニュースも出てきてはいますが、実用化は早くても来年になるでしょうし、治療薬がない現状でますます不安が募るところですが、新型コロナウイルスについては、いろいろわかってきたことがあり、今回はそれらを踏まえ、感冒の流行期の感染拡大をどうやって乗り切るかを考えたいと思います。

世間ではGoToキャンペーンが感染拡大の原因だとかいろいろ言われていますが、私はもっと根本的な問題があると思います。人の移動は確かにリスクを伴いますが、実際街に出てみて気づくことは、多くの人がきっちりと感染予防をしている中で、そうでない人達が少なからずいることです。❛GoTo❜により社会活動の制限が緩む分、感染予防は今までよりしっかりしないといけません。基本的予防策できていますか?自分は大丈夫という根拠のない自信をもっていませんか?新型コロナウイルス感染症の注意すべき点は、インフルエンザと異なり、感染しても無症状の期間が比較的長いことで、この期間に感染を広げてしまっているのです。今は風邪症状があれば誰もが気を付けると思いますが、無症状の人こそがしっかり予防しないと感染拡大は抑えられません。

何度も同じことを言いますが、新型コロナウイルスの感染経路は、直接触れるものからうつる接触感染と、咳やくしゃみで広がる飛沫感染があります。よって、感染しないためにはこの両方を防ぐことが大事で、手洗いと咳エチケットが基本となります(厚生労働省『感染症対策へのご協力をお願いします』https://www.mhlw.go.jp/content/000603845.pdf)。このうち、手洗いについては石鹸でしっかり洗うことがいいと言われていますが、洗いすぎると手荒れの原因となります。石鹸がない時には70%以上のアルコール消毒が有効ですが、石鹸で洗った後にアルコール消毒をする必要はありません。マスクは隙間ができないようきっちり装着してください。マスクの表面はウイルスが付着している可能性があるので、なるべく触れないようにしましょう。

また、①密閉空間、②密集場所、③密接場面『3蜜』は、感染が起きやすい場面として認知されています(厚生労働省『3つの蜜を避けるための手引き!』https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622211.pdf)。特に、飲食を伴う懇親会大人数や長時間におよぶ飲食(アルコールが入ると気が緩むので特に注意が必要!)マスクなしでの会話狭い空間での共同生活居場所の切り替わりといった場面では、感染の危険が高まるので特に注意が必要です。これからの季節は暖房を使い部屋を閉め切ることが多くなるため、定期的な換気が必要になります。30分に1回、数分程度窓を全開にしましょう。複数の窓がある場合は2方向の壁の窓を開放しましょう。病院も換気をしますので、受診する際はなるべく暖かい服装でお越しください。

その他、厚生労働省が発表している『新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識』 (https://www.mhlw.go.jp/content/000689773.pdf)には、新型コロナウイルスについて今までわかっていることがまとめられています。同じく厚生労働省ホームページにある『新型コロナウイルスに関するQ&A』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html)もご参照ください。それから、早めの気づきで行動に注意できるよう、是非とも新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) のダウンロード(新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA) COVID-19 Contact-Confirming Application|厚生労働省 (mhlw.go.jp)をお願いいします。

新型コロナウイルス感染症は、正しく予防すれば感染拡大を抑えることができます。もし風邪をひいてしまった場合は、自己判断をせずに、かかりつけ医療機関に問い合わせて対応を相談してください。PCR検査も唾液で比較的安全にできるようになっています。しかしながら、忘れてはいけないことは、新型コロナウイルス以外に注意すべき病気がたくさんあることです。家族の健康を守るためには、規則正しい生活とともに、感染症対策として、各種予防接種をきっちり受けることが大切です。大人は家に病気を持ち込まないこと。体調の悪いときにお年寄りと接することは避けましょう。

新型コロナウイルスに感染しない、感染を拡大させないために、正しい知識で対処し、できるだけ日常生活を維持していくようにしましょう。

新型コロナウイルスについて5 ~インフルエンザの流行期に向けての対策~

早いもので今年もあと3か月。来る風邪のシーズンへの備えが必要な時期となりました。今年は、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの同時流行が懸念されています。なんとなくコロナ慣れしてきた風潮の中で、インフルエンザワクチンの接種が開始となった今、これからのシーズンに向けた対策を、今一度考えてみたいと思います。

今年は、高齢者がインフルエンザワクチンを受ける際の自己負担額が0円となったこともあり、接種希望者が増加しています。しかし、ワクチンには限りがあり、国民全員分はありません。高齢者は感染すると重症化しやすいのは皆さんご存じだと思います。同様の理由で小児、妊婦、基礎疾患を有する方もハイリスクグループなので、優先してワクチン接種を受けるべきです。こんなことを言うと、受けられなかった方からお叱りを受けそうですが、そもそも、インフルエンザワクチンで感染を完全に予防することは困難です。ですから、感染しないことが大事。しっかりとした「感染予防」はすべての方に必要なのです。

インフルエンザは主に冬に流行します。日本が夏の間、南半球は冬です。今年の南半球のインフルエンザの流行状況は、これから冬を迎えるの北半球の流行を占う上で重要です。では今年はというと、南半球ではインフルエンザの流行はあまりみられていません。じゃあ大丈夫やん、って思わないでください。新型コロナウイルスの流行で、皆がマスクを着用し、手指消毒を行い、3蜜を避けた結果、インフルエンザが流行らなかったのです。ですから、気を抜かずに、今後も引き続いて、コロナ対策と同様に、しっかりとした感染予防をしてください。それでも風邪を引いてしまった場合、発熱がみられた場合は、早めにかかりつけ医療機関に連絡して、対応を指示してもらってください。

とにかく何度も言いますが、人の多いところではマスクを着用し飛沫を抑える。手指消毒の徹底。密接、密集、密閉の3蜜を避けることで、新型コロナウイルスのみならず、インフルエンザウイルスの感染も予防できます。暴露されるウイルスが多いほど重症化しやすいという話もあります。マスクは隙間なく装着してください。最近テレビでよく見かけるマウスガードについては、飛沫を抑える効果はマスクより劣りますのでご注意ください。あとは理性を失くすほど飲まないこと。必ず蜜になります。体調管理もしっかりして、これからのシーズンを乗り切りましょう!