新型コロナウイルスについて13〜「5類移行」その後

新型コロナウイルス感染症が5類に移行してから1か月が経過しました。巷ではマスクなしで活動される方が増えており、街の賑わいが戻ってきている一方でコロナ陽性者数はやや増加傾向をみています。当院でも多くはありませんが抗原検査で陽性となる方はまだまだいらっしゃいます。検査を希望されない方、受診されない方もおられると思いますので、実際の陽性者数はもう少し多いのではないかと推測しています。

今後の流行予測については何とも言えないところではありますが、感染した方とワクチンを接種された方を併せて、ある程度の集団免疫は獲得していると考えられますので、重症者で溢れかえるような状況にまでにはならないだろうと思います。しかしながら、感染者が増えると一定の割合で重症者も増加するため決して楽観視はできません。

その中でも高齢者や免疫が弱い方は、感染すると重症化しやすいグループなので予防が大切になってきます。ワクチン接種もそうですが、皆が高齢者等に感染させないような注意が必要です。普段は必要なくても、より密な空間等ではマスクを着用し、飛沫を抑えようとする行為は免疫弱者を守るという点では必要なことですし、折角マスクなしで行動できるようになったのですから、それを守るために少しばかりの注意はしていただきたいと思います。私は「ウイズコロナ」の新しい生活様式とはそういうものだと考えています。

来院時は不織布のマスク着用をお忘れなく。

発熱等感染症が疑われる方への受診の際のお願い

当院は発熱等感染症の方は専用の診察室で診察することになっています。これは感染症以外の方と空間を分けることにより院内感染を防止するためです。実際の診療においては、感染症が疑われる方にはお電話での診察予約をお願いしておりますが、これは時間予約と同時に感染症専用診察室を予約していることになります。

ところが、最近は予約なしで直接来院される方が多く、また予約されてもその時間に来院されない方もいらっしゃいます。たまたま専用の診察室が空いておればいいのですが、お部屋は一つしかなく皆さんで使うお部屋です。予約されている方のみならず感染症以外の方の診察にも影響が出ることがありますので、風邪症状など感染症が疑われる場合は、必ず受診前に一本お電話をお願いするとともに、予約時間には遅れないよう何卒よろしくお願いたします。

ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

麻疹が増加しています!

国内で麻疹の発生が増加しています。

麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染によりヒトからヒトへ感染します。感染力は非常に強く、免疫のない人が感染するとほぼ100%発症しますが、一度感染すると一生免疫が持続します。

麻疹感染後10日ほどで発熱、咳、鼻水などの風邪症状で発病し、2~3日後に39℃以上の高熱と小さな紅斑様の発疹が全身に出現します。口腔粘膜の白色班(コプリック班)の出現は特徴的です。

合併症として、中耳炎、肺炎、脳炎などがあり、まれに感染から数年たってからSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という脳炎が起こることがあります。

麻疹は空気感染するため同じ空間にいるだけで感染します。マスク、手指消毒で感染は防ぎきれません。免疫のない方はワクチン接種をしてください。2回の接種でほぼ感染を防ぐことができます。定期接種の対象のお子さんは早急にワクチンを接種してください。

G7広島サミット

G7広島サミットが閉幕しました。

今回はウクライナ大統領の参加もあり対ロシアサミットでした。

核保有国は各々思惑があるようですが、各国首脳がヒロシマに触れることで、核兵器のもたらすもの、戦争のもたらすものがいかに悲惨かを感じ取ってくれたであろうと思います。

何を主張しようが結果がすべてを物語っています。一度は広島に行くべきでしょうね。

今回はちょっと社会派になってみました。

新型コロナウイルスについて12〜5月8日以降の対応

いよいよ5月8日から新型コロナウイル感染症が5類相当となり、季節性インフルエンザと同等の扱いとなります。とはいえ、新型コロナウイルスがインフルエンザよりも感染力が強いことには変わりありませんので、コロナ前よりは強めの感染対策を行なっていかなければなりません。

マスク着用は緩和されましたが、当院を含む診療・検査指定医療機関にはコロナに感染された方が来院されますので、風邪症状の有無にかかわらず来院時は不織布のマスク着用をお願いいたします。

コロナ感染者数は徐々に増加傾向にあるようですので、日常生活においてもくれぐれもご注意ください。感染症予防の基本は、マスク、手指消毒、ワクチンです。

新型コロナウイルスについて11~5類引き下げ後の対応について

2月になり晴れた日の日差しや風に春を感じるようになりましたが、花粉症の方はこれからが嫌なシーズンですね。今年は花粉の飛散量が多いと聞きますので早めの対策をしましょう。

さて、このたび政府は令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染所を現行の「2類」から「5類」に引き下げることを発表しました。これにより新型コロナウイルス感染症は季節性インフルエンザと同等の扱いになり、多くの制限が解除され社会活動がしやすくなります。ようやくマスクから解放されると喜ぶ方も多いでしょう。

しかしながら、インフルエンザと同様とはいえ、ウイルスが違うわけですから全く同じ対応でよいというわけではありません。新型コロナウイルス感染症は、オミクロン株が主流になってからは感染後の重症化率、致死率とも低下がみられていますが、60歳未満では季節性インフルエンザと大差はないものの、60歳以上になるといずれもまだ高い状態です。また、新型コロナウイルスの感染力は季節性インフルエンザより数倍強く、軽症でも約半数の人に感染後の何らかの後遺症がみられているというデータもあります。

このように新型コロナウイルスが取り扱い上5類相当になったとしても、インフルエンザと同等に考えるのは危険です。新型コロナウイルスが弱くなったとは言いきれないので、感染予防は引き続き行っていかなければなりません。人ごみなど密なところでのマスク着用、ワクチン接種は今後も感染予防、重症化予防には大変有効です。

2023年

新年あけましておめでとうございます。

昨年はほとんどブログの更新ができませんでしたが、今年はせめて月1回は更新しようと思います。

皆さんはサッカーワールドカップを観られたでしょうか?メッシが有終の美を飾るという絵にかいたような幕切れに終わった大会でしたが、我々にとって喜ばしいことはやはり日本代表の躍進に尽きるでしょう。ドイツ、スペインを倒したんですから大したものです。

そのスペイン戦で「三苫の1ミリ」という言葉が生まれましたが、これはVAR(Video Assistant Referee)という映像でプレーの確認をする技術が近年導入されていたことに由来するもので、おそらくそれ以前なら日本の2点目は「誤審」と言われていたでしょう。

このように新しい技術がスポーツのみならずいろいろな分野で取り入れられてきています。医療の世界も例外ではなく徐々にIT化が進んできています。当院でもIT化に対応し、引いては医療の在り方の変容(DX化)に適応できるようにしたいと考えておりますので、今後はより頻繁に情報の発信を行い、皆様にとってより便利なクリニックを目指す所存です。

新型コロナウイルスについて10~急激な感染拡大をみる第6波において行うべきこと

年が明け、昨年の第5波を凌ぐ勢いで、急激な新型コロナウイルスの感染拡大がみられています。今回の第6波を形成するのはオミクロン株という種類の新型コロナウイスです。重症化はしにくいものの非常に感染力が強く、一人が感染すると、今まで感染しにくいと言われていた子供も含め、一緒にいる人のほとんどが感染してしまいます。このため、家庭内感染が非常に多くみられ、職場のみならず、学校、保育園などでもクラスターが発生しやすい状況になっています。また、コロナワクチンを打っているのも関わらず感染する人も多く、ワクチンを打ったから大丈夫とは言えないのがオミクロン株の特徴なのです。

このまま感染が拡大すると医療がひっ迫するのは時間の問題です。再び緊急事態宣言が出るようなことは避けたいものです。そのためにはいかに感染拡大のスピードを抑えるかが重要です。まずは基本的な感染予防、マスク、手指消毒、3蜜回避などは当然行うべきことですが、今回の第6波において大事なことは「集まらないこと」、「必要のない人と対面で会わないこと」だと考えます。オミクロン株の感染力を考えると、ある程度感染してしまうのは防ぎようがないので、それをいかに少人数にとどめるかを考えて行動していただければ、感染拡大を少しでも鈍化させることができ、ひいては医療ひっ迫を最小限に抑えることができると考えています。

 

新型コロナウイルスについて9~私的見解で個人レベルでのコロナゼロを目指す

新型コロナウイルス感染症に対する政策上、日本には法整備ができていないのでロックダウンなど強制的な行動制限はできません。コロナゼロは目指さず(目指せず)、コロナと共存して(ウィズコロナ)経済を回していこうという政策です。それでも新型コロナウイルス感染拡大の第1波の時は、国民皆が自主的に感染予防を行い、行動を自粛したことで、見事に感染拡大を抑えることができました。

しかし、その後は免疫がないので当然のことながら第2波を迎えるのですが、この頃から感染がピークを過ぎても新規患者数が一定数から減らなくなりました。いったい何故でしょう?

ちょうどその頃に「GoToトラベル」が始まり、Stay homeに我慢できない人が移動しはじめるようになりました、人の移動は感染症を拡散させるのでこの政策には問題があります。特に観光地では気持ちが開放的になることもあり、感染予防が緩くなりがちです。また、同時期に流行りだしたのがウレタンマスクです。不織布マスクが品薄で見栄えも悪かったので、若者が好んで装着するようになりました。今でも多くの人が使用しています。ところがこのマスクは不織布マスクほどの感染予防効果はありません。布マスクに至っては「ないよりはマシ」くらいのものです。夜の街の感染は多かったかもしれませんが、私の見解では、観光地などへの人の集中を抑制しきれなかったことと、ウレタンマスクなどの緩い予防が広まったことが、感染が減らない一番の原因だと考えています。前者は防ぎようがない面がありますが、少なくとも後者は我々自身で対処できることです。

そもそも感染症は、病原体と人の免疫との戦いです。当然強いほうが勝ちます。ですから、体に侵入してくるウイルスを限りなくゼロにすれば感染は起こりませんし、たとえゼロにできなかったとしても、免疫を強くすれば簡単に負けることなはありません。例えれば、マスク、手指消毒、蜜を避けるなどは侵入するウイルスをブロックする「盾」です。変異株のような強い敵が現れたら今まで以上に「盾」でのガードをしないとダメです。新型コロナウイルスの侵入経路主に鼻、口なので、より予防効果が高いマスクを使うことが重要なのは明らかです。また、ワクチンも重要です。たとえ敵が侵入したとしても、相手を弱らせて重症化を予防できる「鎧」です。このワクチンがある今、第1波の時を思い出してしっかりとした予防をすれば、感染者数のベースが減り、もう少し感染の広がりは抑えられたと思います。何とか医療ひっ迫が起きないレベルを維持して、治療薬の登場まで、個人レベルでのウイルスゼロを目指してしっかりと感染予防をしていただきたいと思います。

 

新型コロナウイルスについて8~コロナワクチンについて2

新型コロナウイルス感染症が今までにない急激な拡大をみせています。都市部では病床や療養場所が不足し医療ひっ迫がみられ、緊急事態宣言が発令されています。

一方で、新型コロナワクチン接種が急ピッチで進んでいます。ワクチン接種で感染は完全には予防できませんが、変異株に対しても重症化のリスクは軽減できます。事実ワクチン接種を終えた高齢者の重症化は減少しています。

ワクチン接種が若い年代にも広がって、重症化する人数が減少すれば当然入院も減少し、医療ひっ迫は解消に向かうはずですが、それでも一定の割合で重症化はみられるので、感染者が爆発的に増えればそれだけ医療はひっ迫してしまいます。そうすると、我々が今しなければならないことは、「感染しないこと」と「感染させないこと」です。そのためには、マスク、手指消毒、3蜜回避と今まで散々言われてきたことを継続することが大事なのです。

集団免疫という観点からは、変異株の流行の影響で、既感染者を含めて国民の95%ほどが免疫を獲得しないといけないと言われていますが、実際これを達成するのは困難だと思われますので、結局は予防が重要なのです。ワクチン接種をされていない方は引き続き上記の予防をしっかり行ってください。ワクチン接種がお済でも予防は今まで通り感染予防を行ってください。